夕食の片付けが終わった後、車のキーを手に取る。向かう先は、自宅からほど近い海沿いの道です。 最近、平日の夜に妻と二人でドライブに行くことが増えました。
きっかけは、妻のふとした言葉でした。彼女は仕事で責任ある立場にあり、日々忙しく働いています。そんな彼女が、「忙しい毎日の中でも、自由で楽しいって実感できるようなことがしたいな」と口にしたからです。
子供たちが成長し、少しずつ手がかからなくなると、ぽっかりと夫婦二人の時間ができることがあります。そんな時、周りの夫婦のように共通の趣味を見つけなきゃいけないとか、旅行に行かなきゃいけないと、なんとなく焦りを感じてしまうことはないでしょうか。
特別な趣味を持たなくても、お金をかけて遠出をしなくても、夫婦の時間は穏やかに積み重ねていけます。この記事では、ただ夜の海辺を車で走るだけの時間が私たちに教えてくれたことを、少し書き残してみたいと思います。同じように夫婦の過ごし方に迷う人が、少しでも肩の力を抜いてくれたら嬉しいです。

親の手を離れていく子供たちと、増えていく二人の時間
ステップファミリーとして歩み始め、再婚して11年目になります。 この春から社会人になった長男、パートナーと同棲している長女、高校生になった末っ子。子供たちはそれぞれ自分の世界を持ち、友達と遊んだり、学業や仕事に向き合ったりと、親の手を少しずつ離れつつあります。月に一度、長男とラーメンを食べに行くような時間は今でも大切にしていますが、気がつけば家の中で妻と二人きりになる時間が自然と増えていました。
月に1回のランチやドライブデートに加えて、最近はこの「平日の夕食後、ほんの少しの時間だけ海へ行く」という習慣が加わりました。
かつての私はシングルファザーとして、決して余裕のある毎日を送っていたわけではありません。再婚当初も、新しい家族の形を模索して慌ただしく過ぎていきました。 それでも、コツコツと高配当のETFを積み立てるなど、将来に向けた資産形成を二人で話し合ってきました。今では年収もそこそこになり、少しばかりの経済的な基盤ができています。
確かに、資産があることで人生の選択肢は増えます。行動を起こすときの心理的なハードルが下がり、生活の安定感があるという面は確かにあります。 けれど、私たち夫婦が心地よい時間を過ごすために意識しているのは、決して大きなお金を使うことではありません。
- 大きなお金をかけるより、共有する「時間」そのものを優先する
- 妻の「ちょっと息抜きしたい」という小さなサインを見逃さない
- 特別な目的地を持たず、ただ一緒に同じ景色を眺める
これだけで、心は十分に満たされるように感じています。
婚活の迷路を抜け出し、休日にふたりで笑い合えるパートナーと出会えた選択

お金がなかった頃から変わらない「幸せの度合い」
経済的に少し余裕ができた今だから、こんな風に心穏やかにドライブを楽しめるのだろうか。 暗い海沿いの道を走りながら考えることがありますが、答えは少し違うような気がします。
もっとずっとお金がなかった頃から、実は「幸せの度合い」というものは変わっていません。 お金がないならないなりに、私たちは工夫して家族で楽しんできました。近所を散歩するだけでも、家でささやかな食卓を囲むだけでも、そこには試行錯誤しながら積み上げてきた確かな充実感がありました。
だからこそ、今のこの穏やかな海沿いのドライブも、過去の延長線上にあります。 世の中には無限の選択肢があり、SNSを開けば理想的な夫婦の休日の過ごし方が溢れています。高級ホテルでのディナーや、海外旅行を楽しむ姿を目にすることもあるかもしれません。 けれど、私たちは誰かになる必要はないし、誰かと比べる必要もないと思っています。
今あるこの時間を、ただ静かに味わう
夫婦の形は、時間の経過とともに変わっていくものです。子供が手を離れ、二人の時間が増えたからといって、慌てて何か新しい共通の趣味を始めたり、特別な計画を立てたりする必要はありません。 何をしたらいいかわからず、立ち止まったままでも、今のままでも大丈夫です。
忙しい日々の中で、ほんの少しだけ車を走らせて、夜の海の静けさを隣で感じる。ただそれだけで、胸のつかえが取れていくのを感じます。 これからも、ただ今あるこの時間を大切に、妻という一番の戦友と日々を過ごしていきたい。焦らず、自分たちのペースで、一つひとつの些細な思い出を積み重ねていく。それだけで、人生は十分に豊かなのだと思います。


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